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編笠山・西岳(八ヶ岳)
夏の日帰り登山 八ヶ岳を歩こう
豊かなる自然の宝庫 八ヶ岳
八ヶ岳は南北約25km、東西約15kmにも及び、標高も3,000メートルに近い峰が多く、日本でも有数のスケールを誇る山である。長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳は、首都圏にも比較的近く交通の便もいいことから、毎年多くの登山者が訪れる。
その山容は変化に富み、特に主峰赤岳を中心とする南八ヶ岳は、豊かな高山植物と富士山や日本アルプスを眺望できることから、夏山シーズンともなると多くの登山客で山頂は賑わいをみせる。
富士見町からは比較的楽にアプローチできるコースとして紹介したいのが、富士見高原を拠点に編笠山・西岳を経て富士見高原へと戻るコース。雄大な展望と高山植物。そして登山道も整備され水場も数ヶ所あることから、、日帰りでも十分楽しめる。また、無理をしない登山を希望する人は、途中に山小屋(青年小屋)もあるので一泊して登山をゆっくり楽しむのもいいだろう。
登山のベストシーズンは梅雨が明けてからの7月下旬からがベストシーズンとなる。
感動の風景と出会いに八ヶ岳を目指そう。
富士見高原から大パノラマを目指して
八ヶ岳登山のスタート地点は富士見高原。
車も駐車でき小淵沢インターチェンジにも近いことからアクセスは非常にいい。また、朝時間に余裕を持たせたければ、隣接の「鹿の湯」にはホテルも併設されている。登山は早出が常識、ホテルに宿泊し気力と体力を充電してからスタートするのもいいだろう。
まずはゴルフ練習場へと向かう坂を道なりに進む。途中には案内板もあるので従っていくと、ゴルフ練習場の脇を森の中へ入る位置に案内板がある。ここから登山道は始まる。周りは高いカラマツ林に囲まれ、吹き抜ける風が心地言い。少し進むと林道をまたぐかたちで何本も登山道が延びているので、案内板に注意しながら進むこと!途中には「盃流し」へと至るルートと、「不動清水」へと至るルートに分かれる。今回は右の「盃流し」を目指す。
程なく河原に巨大な岩の間を清流が流れる美しい景観が広がる。ここが「盃流し」である。また、近くには「神仙秘境」「曲水」の文字が岩に刻まれた記念碑があり、何とも神秘的な雰囲気が漂う。個々から先は何本か林道をまたぎながらの登りが続く。
「盃流し」から約30分で「名所見晴台」の看板があるが現在展望はない。その僅か先に「臼久保岩小屋」がある。かつての修験者やまたぎが使った巨大な岩屋である。
標高も徐々に上がり約2000メートルで苔むした岩が徐々に増え、厚生林の雰囲気が漂う。特にこの辺りは木の根が張り登山道が分かりづらくなる場所があるので、木に巻きつけられた目印を探りながら登ること。約2300メートルの場所に「名所シャクナゲ公園」がある。
樹林帯を抜けると、最後の難所である岩場が続く。岩のマーキングに従って慎重に登ること!そしてスタートの「鹿の湯」から約4時間35分で編笠山山頂に到達する。
まず感動するのが、360度のパノラマ。正面に南八ヶ岳の赤岳、阿弥陀岳、そしてギボシの奥に権現岳が見える。甲府盆地方面に目を向ければ、ひときわ美しい姿を見せてくれる富士山や奥秩父の山々、そして南アルプスも間近に迫る。登山道を振り向けば諏訪盆地や諏訪湖も一望できる。山頂は休日ともなると多くの登山客で賑わいを見せる。
編笠山からは青年小屋方面を目指す。ここも巨大な岩が転がる下りが続くので、足下には気をつけること。お昼を山頂で食べなかった人は青年小屋で食事を取るのもいいだろう。小屋の前にはベンチもあり、広々としているので休むには最高。また数分で「乙女の水」と言われる水場もある。飲み水が少ない人は補給を忘れずに。水は大変冷たく、渇いたのどを潤してくれる。ここから約50分、樹林帯の中を進むと西岳山頂に着く。
花の楽園「西岳」と山岳信仰の清水
西岳山頂でまず目を奪われるのが高山植物の多さ。夏山シーズンには多くの高山植物が可憐な花で楽しませてくれる。山頂は一部木に覆われているが、先ほど登ってきた編笠山のなだらかな山容が一望でき、その奥から富士山も顔を出す。また南アルプスや中央アルプスも美しく眺望できる。
西岳を彩る高山植物
西岳でしばらく休憩を取ったら、いよいよ下山。「不動清水、ゴルフ場」の看板に従い下る。急な下りとなるので足下には十分注意すること。下山道の途中で視界が開けた場所からは、富士見町内も良く見える。
登山道はいつしか深い樹林帯の中へ。約2時間で「不動清水」に到達。石仏や石碑が点在し、清水が湧き出る水場もある。ここを下れば登りで通った登山道と合流。後はゴールの「鹿の湯」を目指すだけ。ここでお勧めしたいのが「鹿の湯」の温泉。疲れと汗を流し、さっぱりして家路に向かってはいかがですか。